「姉さん、……あの人は」

「人間よ」

俺が言い終わらないうちに、姉さんは言った。

どんなに体が傷だらけだろうと。

手足が機械だろうと。

今までに何をしてきたって、これから何をしたって。

最初から最後まで、彼は人間だ。

だけど、近くにいても遠くにいても、

一度でも見知った誰かが、

一人でもいなくなってしまうというのは、

なんて悲しいことなんだろうと。

姉さんは溜息を吐きながら、しばらく泣きやまなかった。