もし自分に魂なんてものがあったら…… きっと次は全うに生きるよ……。 剣太は静かに目を閉じた。 そして、建物が崩れ落ちる音を聞きながら、 最後に何かを掴もうとして、宙に手を伸ばした。 残っている方の手だ。 何故か、その腕の感覚はまだあった。 誰かが、その手を握り返したような気がしたが、 そのまま剣太は剥がれ落ちてきた天井を避けることなく、 深い眠りについた。