だから博士は辛そうな顔をしていたのだろう。 兄弟同士を、殺し合わせるのだから。 今になって、やっと色々な事が分かった。 小夜子に対する、自分の気持も。 彼女の微笑みは、 自分がまるで本当の人間だと勘違いしてしまうくらいに、温かかった。 使命も命令も、全部忘れそうになるくらい、優しかった。 (俺はただ、愛されたかっただけだったんだな……)