今にも焼け落ちそうな天井を仰ぎ見ると、不意に視界が滲んだ。 それは、血ではなく涙で。 最後に見た博士の顔が、鮮明に蘇った。 疲れ果て、影を落としたような顔。 だが、その瞳だけは優しく自分を映していた。 (会いたいよ……フランケンシュタイン博士…… いいや、『お父さん』……) 赦されなくても、そう呼びたかった。 だけど、ただのクリーチャーである自分が「子供」を名乗ったら、 憎むべき仇である一代目は、 自分にとって「兄」だという事になる。