彼は起き上がって涙を拭うと、 床に落ちていた上着(彼が着て来たらしいもの……)から、何か出した。 フランケンシュタインが、慣れない手つきで携帯電話をいじっていた。 (これはもしかしたら、歴史的瞬間なんじゃ……) ……でもなかった。 うちには、パソコンを使う吸血鬼がいる。 (でも、どこにメールしてるんだろう……?) まさか、その『組織』とかいうのに、 馬鹿っ正直に「体返せ」って要求してるんじゃないだろうな……。