それから剣太は、目覚めた後に何度も薬を打たれた。 薬品が一体どういうものなのかを尋ねると、 決まって答えは「その体を繋ぎ止める為のもの」だった。 詳しい成分は、教えて貰えなかった。 剣太は、その後の数回の投薬の所為で、すっかり記憶を失った。 今考えてみれば、これまで飲み続けていた薬も、 記憶を混濁させる幻覚剤のようなものかもしれなかった。