誰の声だろう。 酷く懐かしく、優しい声。 それが分かっているのに、 記憶の声は砂嵐が巻き起こったように不鮮明で、頼りない。 剣太は、意識を集中させ、焦点を一つに絞った。 薬を飲む度に思い出し、分からなくなっていた過去の自分。 それが、取り戻せそうな気がした。