さっさと逃げればいいものを、怯えているくせに動こうとしない。

だが、剣太には覚えがあった。

決して気を抜けない敵と自分が、死闘を繰り広げている時。

その光景をひっそりと盗み見ている人間がいた。

それは、今の状況とよく似ていた。