「……小、夜、子……」 ゆっくり口から出たその言葉は、名前であるのに、どこか呪文のようだった。 ――また、『ひと』から離れてしまった……。 剣太の頬を、一筋の涙が伝った。 自分を創った、博士への罪悪感。 組織に対する憎悪。 そして……自分はもう「ひと」ではないという悲しみが。 彼の中の炎を、静かに滾らせた。