姉さんの友達はフランケンシュタイン 孝の苦労事件簿②




「……小、夜、子……」
 
ゆっくり口から出たその言葉は、名前であるのに、どこか呪文のようだった。

 


――また、『ひと』から離れてしまった……。
 
 

剣太の頬を、一筋の涙が伝った。
 
自分を創った、博士への罪悪感。
 
組織に対する憎悪。
 

そして……自分はもう「ひと」ではないという悲しみが。
 


彼の中の炎を、静かに滾らせた。