「別に」 エリアルはゆっくり体を起こすと、タオルケットをどかし、 「これは小夜子にかけてあげてくれ」 「心配しなくても、姉さんにはちゃんと毛布持ってくるつもりだから」 「そうか。……僕はもう寝るよ。 ちょっと、体力を使い過ぎた」 「せめて着替えろよ。 ずぶ濡れのまま布団に突っ込んで、 寝床にカビが生えても知らないからな」 すると、エリアルはぼうっと振り返り、虚ろな目で力無く笑った。 「分かってる。 心配してくれて、ありがと……」 あ、駄目だ。 ……こいつ相当弱ってる。