「厄介って、相手が?」 小夜子は、涙を掌で擦りながら尋ねた。 マスカラもアイラインも、全部涙で溶けてどろどろだった。 だが、エリアルはここまで自分の為に泣いてくれる彼女に、 言いようのない愛しさを感じていた。 「まあ、そうなんだけどね……。小夜子」 「何が!?」 小夜子の必死さにエリアルは小さく笑い、唇だけを動かした。 どうやら彼は、君を……。