彼女は、必死でもつれる脚に苛つきながら走り、裏門を目指した。 ここからでは、正門は遠かった。 「――ここにいれば、絶対来るだろうと思っていた」 小夜子の背中に、冷たい汗が流れた。 「う……」 剣太が、柱の陰にいた。 咄嗟に小夜子は足を止めたが、再び背を向けて走り出す事は出来なかった。 (正門に行けばよかった……!) もう、足が動かなかった。 恐怖と緊張で、強張っていた。