忘れていたわけではないが、危機意識が日に日に薄れていったのは、 紛れもない事実だ。 だから、エリアルの牙の痕を隠しもせずに、平気で外を出歩いてしまったのだ。 そして、吸血鬼の存在を裏付けるような痕跡は、 何があっても隠さなければならなかったのに。 小夜子は、首筋の傷に触れた。 ちりちりとした表面の痛みと、鋭い内部の痛み。 彼女はわざと、爪を立てた。 そうでもしなければ、とても普通にしてはいられなかった。