この時は、ただ否定すれば、よかったのだ。 だが、咄嗟に小夜子は剣太の手を振り切り、逃げてしまった。 剣太は、追い駆けてきた。 そして、今に至る。 (講堂なら、軽音部がいると思ってたのに……) いつもなら、うるさいくらいに下手なギターを掻き鳴らしたり、 ドラムを鳴らしているというのに……。 彼女以外、誰の気配もしなかった。 だけど逆に、しんと静まり返っている事が怖かった。