「龍太、下ろして!」

 私が言うけど、龍太は聞こえないふりをする。

 入学式のときみたい。

「オマエの姿見てると、危なっかしくて見てらんない」

 …危なっかしくて、ごめん。

 私は俯いた。

「にしてもさ、お前、軽いよな」

「え?」

「体重。ちゃんと飯食ってるか」

 顔から火が出るんじゃないかって思った。

 体重のことを口に出す男子って、最悪!

「食べてるよ」

「…痩せてる女は抱き心地悪いんだよな」

 龍太が文句を言う。私が痩せてようが、龍太には関係ないのにね。私に文句言わないでよーー。