「千花ちゃん」

 名前を呼ばれて、ドキッとした。

 隼太くん、大人びた顔つきなのに、声が子供っぽい。そのギャップに胸が高鳴る。

「は、はぃ?」

「敬語、使わないで。俺、そういうの苦手だから」

 敬語禁止!?待って、そんなの無理だって!

「無理無理!!」

 私が首を振ると。

「お願い!」

 手を合わされちゃった。

 手を合わせて、こんな子供っぽい声で、お願い、なんて言われちゃうと、断るなんてできないよ。

「わかっ…た」

 私は小さく呟いた。