「でも、お前も母さん亡くしてたんだな」 啓太が言った。 「うん、二年前に」 「知らなかったな」 そりゃ、知ってるわけないじゃない。 だって、啓太と私が知り合ったのは、つい最近なんだから。 逆に知ってたら怖いかも。 「…俺、家に帰る。母さんに、言ってやらねぇと。再婚頑張れ、って」 「私も帰る。急に飛び出してきちゃったこと、謝らなきゃ」 私たちは、言い合って、別れた。