★
家に帰ると、見知らぬ靴が二足、玄関に並んでいた。
一つはハイヒール。血みたいに真っ赤な色のハイヒールだった。
もう一つはスニーカー。白地に青いラインの入ったスニーカーだけど、至る箇所に泥がついている。長い間、使いこんでたのかな。
「ただいま」
中に入ると、リビングから黒縁メガネの美青年が顔を出した。
何、あのイケメンは!!
「あ、おかえり。君が千花ちゃん?」
私、頷いた。
「あ、おかえり」
頑固な父さんが珍しく機嫌良さそうに明るい声色。
「おかえり、千花ちゃん!今ね、ケーキ焼いてたのよ」
未来の母さん…が、玄関まで来た。
私の母さんは、死んじゃった母さんだけだから、なんだか不思議な感じがする。



