「梨桜とデートの日にさ、梨桜を待ってたら、いとこの愛梨から電話があってさ…。それを聞いてたらしくて、梨桜は俺に会う前に家に帰っちまって」

 …梨桜、すげぇ勘違いしてんな。

 つか、どんなけ不器用なんだよ、こいつと梨桜は!

「お前ら、不器用にもほどがあるっつぅの…」

 俺が言うと、龍太は、眉間に皺を寄せた。

「は?」

「姫は、お前に新しい女ができたと思ってお前を忘れようと必死。お前はお前で、梨桜に嫌われて、でもどうすればいいかわからないし、なんでなのかもわからなくて混乱。で、別れた…?アホかよ」

 俺の言葉に、龍太は、廊下に腰を下ろす。ドアが、ガタガタと音を立てた。

「俺、バカだな…。挙句の果てには、お前に梨桜を取られるし」

「…」俺は、少し迷ったが、口を開いた。「話し合えば?」