悲鳴あげたのは私だけど、かわいくない悲鳴だよね…。

「かわいい悲鳴じゃん」

 佳主馬くんは、そう言って、意地悪な笑みを浮かべる。

「かっ、かわいくないし!顔もかわいくないし!」

 私の言葉に、佳主馬くんは小さく笑った。

「かわいいよぉ?」

「佳主馬くんだけだよ、そう思ってくれるの…」

 私が言うと、佳主馬くんは、教室を見渡して。

 誰かを見つけたのか、ニィッと笑った。その笑顔は、不思議の国のアリスの、チェシャ猫みたいだった。

「へぇーえ?!龍太は、言ってくれなかったんだ?姫のこと、かわいい、って」

 !!

 私は、佳主馬くんを見上げた。

「だって、そういうことでしょ?」