俺は、体育館の外壁に、梨桜の体を押さえつけた。

「一度しか言わない」

 梨桜が、怯えた顔で、俺を見上げる。

 怖がらせるつもりなんか、なかったのに、梨桜を怖がらせてしまったらしい。

「梨桜は、俺と龍太、どっちが好きなんだ?」

 梨桜は、俯いた。

 俺の方、見ろよ。

「…龍太、なのか?」

 俺が聞くと、梨桜は

「でも、龍太は他にカノジョがいるから…っ」

 泣きそうな震えた声で言った。

「俺が聞いてんのは、そんなことじゃない!お前の好きな奴が誰かを聞いてんだ!」