とんだナルシスト野郎だな、こいつ…。

 つーか、知ってたのかよ、梨桜が自分のこと好きだって。

「けどさ、ただの勘違いだったってことに、プールで気付かされたよ」

 去年の、あの日か。

 俺は、去年のことを思い出した。佳主馬が、梨桜に振られたあの日。

「姫は、お前のことをずっと好きだったって、そう言ったんだ!姫は、小さい時から、ずっとずっと―――」

 佳主馬は言葉を切った。

 またしても、端整な顔を歪める。

 右手の拳を、俺の頭のすぐ隣に打ち付けた。

「オマエのことだけを、愛してたんだ!!一途に、お前だけを想いつづけてたんだ!!」