龍太SIDE

 翌朝、俺が家を出たタイミングで、梨桜も家を出てきた。

「あ、梨桜…おはよ…」

 挨拶をしてみるが、梨桜は何も言わない。

 …怒ってるのか?

「どいて」

 戸締りを終えた梨桜が、立ちすくんでいた俺を押しのける。

 あの天然な梨桜が、こうまで怒るって、よっぽど―――って、俺のせいだけど。

「あのさ、梨桜…?」

 俺が声をかけると、梨桜が振り向いた。

「何」

「…今日、屋上に来て?」

 俺の言葉に、梨桜は盛大に顔をしかめた。

「行かない」

 …は?