私と龍太が付き合ってなかったあの頃に。

 今、龍太と別れたって、別に世界が終わるわけじゃない。

 ただ、互いが新しい道に進むって、ただそれだけ。

 もしかしたら、いつかは終わる運命だったかもしれない。

 永遠の愛だなんて、ないんだから。

 ただ、少し早く終わってしまった、それだけなんだ。

 私は私の、龍太は龍太の新しい恋を始めて、―――そうやって、世界はまわって行くんだよ。

 私は、まだベランダに立ちすくんでいる龍太を見た。

 さようなら…。

 心の中で、そう呟いた。

「バイバイ」

 バイバイ、私の恋…。

 私は、リビングを出た。

 これでよかったのかな?迷いが生まれたけど、私はその迷いを振り払った。