帰り道、私と龍太は傘を差して歩いていた。

 梅雨は雨が多いから、晴れる日なんてあんまりない。

「雨、止まないねェ」

 私が言うと、龍太が「あぁ…」と小さく返事した。

「どうしたの?なんかあった?」

 私が聞くと、龍太は首を横に振った。

「別に」

 なんか、返事もあっさりしていて、違和感があった。

「…ねぇ、なんか隠し事してない?」

 私が聞くと、龍太は歩くのを止めた。図星?そう聞こうとして、やめた。

 龍太が私の方を振り向いて、

「俺のこと、信じられないか?」

 低く、切ない声で言った。

「…え?」

「俺のこと、信じられないかって聞いてんだよ」