「とにかく、俺はお前に負けたんじゃねェ!姫の純粋さに負けたんだ!お前、姫の純粋さに感謝するんだな!」佳主馬くんの言葉に、龍太が鼻を鳴らす。「…姫を泣かせたら俺、許さない」

「誰が泣かせるかよ」

 私は、龍太を見上げた。

 龍太の腕が私の肩を掴む。シトラスの香りが鼻をくすぐった。

「俺は絶対、梨桜を泣かせない。俺は、こいつを守りたいから、泣かせない」

 私は嬉しくなって、龍太に抱き着いた。

 龍太が顔を赤くする。

「うわ、ラブラブね〰〰」

 美穂が冷かしてくるけど、気にしない。

「…っ。と、とにかく、姫、龍太に泣かされたら電話しろよ!」

 私は頷いた。

「よし。じゃあな」

 佳主馬くんが立ち去って行く。

 龍太が私の頭を撫でた。

「あいつらにお前は渡さない。…梨桜、ずっとずっと一緒にいような」