小学生の頃から何度も出入りした家。

 同じマンションで、部屋の構成も一緒なのに、家具の配置やカーテンの色が違うだけで、別のマンションみたいに感じる。

 見慣れた私の家と同じ家だとは思えない。

 玄関からまっすぐ廊下を歩くとリビングがある。

 リビングとつながった三つの小部屋、その一室――右側の部屋が龍太の部屋。

 右側の部屋は、私の家側。

 龍太の部屋のドアをノックする。

「…龍太ぁ?いる?」

 ドアの向こうから応答はない。

「もう勝手に入っちゃっていいわよ」

 龍太のお母さんが言った。

「え、でも…」

「平気平気」

 私はドアを開けた。

 中は真っ暗で、ベッドに龍太は座っていた。