それは違うだろ。

「言っとくけど俺、女なんて口説いたことないからな」

 俺が言うと、

「はぁ?嘘だろ」

 幸也が口をあんぐり開けた。

「嘘じゃねぇし。女が勝手に寄ってくるんだ」

「マジかよ。その人気、俺にも分けてくれよ」

「分けれるなら、分けてやりたいよ」

 俺がため息交じりに言うと、

「うわ、龍太って意外にナルシだな」

「ナルシって…失礼な!」

 俺がもう一度ため息をつくと、幸也は俺の顔を覗き込んだ。

「…何があったんだ」

「…いや、俺に元カノが三十人以上いるからさ、プレイボーイだって言われたし、そのせいで梨桜を傷つけちまったし」