蓮くんはそう言って、私の隣に移動してきた。

「君、風間梨桜ちゃんでしょ」

 私は頷いた。

 蓮くん、なかなかのイケメン。金髪で、どんぐり眼。健康的に日焼けしている。華奢な体つきで、肩幅がだいぶ狭い。

「俺の親は、家を出てったんだ」蓮くんはそう言って、笑った。「だから俺、妹と二人暮らししてるんだ」

 つらくないのかな。親がいなくて、妹と二人暮らしだなんて。

 私が俯いていると、蓮くんは言葉を付け足した。

「俺、別につらくないからな。そりゃ、最初はツラかったけど、今はもう慣れた」言ってから、私の腕に触れた。「梨桜ちゃんは?」

 私は、まわりを見て、声を潜めた。

「お父さんが事故で死んじゃって、お母さんは朝から夜まで働きづめなんだ」

 私が言うと、蓮くんはニカッと笑った。

「俺ら、仲間だな」