龍太SIDE

 入場料を払う。受付のおばさんが、営業スマイルを浮かべて、

「お似合いのカップルですね」

 俺は軽く会釈して、中に入った。

「俺ら、お似合いだってさ」

 俺が言うと、梨桜が首を横に振った。

「…龍太ぁぁ。やっぱりやめようよぉぉ」

 梨桜が泣きそうな声で。お化け屋敷の中は暗くて、梨桜の顔がどんな表情を浮かべているのかわからない。

「今更引き返せるかよ」

 俺が言うと、梨桜が、「ひぃっ」と小さく声を上げた。

 右腕に、梨桜の感触を押し付けられた。

「梨桜っ!?」

 俺が声を上げると、梨桜がもっと強くしがみついてきた。

 右腕に梨桜の心臓の音が振動となって伝わってくる。

 俺の心臓も、大きく音を立て始めた。