「ここで待ってろよ?」

 私は頷いて、残ってるかき氷をひと口に頬張った。

 頭が、キーーンってした。

 龍太は、すぐに戻ってきた。私の大好きな人は両手を後ろに隠している。

「じゃんっ」

 小学生みたいに無邪気な笑顔で、後ろでに隠していた両手を差し出した。その笑顔は、学校で見せない、私と、元カノたちが知っている笑顔。

「オマエ、こういうの好きだろ」

 龍太が持っているのは、指輪だった。なんだか、婚約指輪みたいで、思考が回らなくなる。顔が熱くなって、喋りたいことがうまく言葉にならない。

 指輪のデザインは、桜の花が付いた女の子らしい指輪。

「かわいい」

 暫くしてから、私はようやく言った。

「…気に入らなかった?」

 私は首を横に振った。

「そんなこと、ないよ」

 私が言うと、龍太は首を傾げながら指輪を私の右手薬指に嵌め込んだ。

 その間、すごく恥ずかしかった。