「あだっ」 梨桜が声を上げる。 「…男が女にそういうことする理由なんて、」俺は暴れる梨桜を無理やり抱き寄せた。「たった一つしかないだろ」 俺の言葉に、梨桜が暴れるのをやめた。 「龍太?それって…どういうこと」 梨桜は鈍い。 お化け屋敷でお化けが目の前にいても気づかないんじゃないかってくらいに鈍い。 この鈍さには苛々する。 「オマエ、鈍すぎ」 俺の言葉に、梨桜が俺の胸を叩く。 「…離してよ!暑いから!」 理由、それかよ。 嫌、とかじゃなくて暑いから、ってどんな理由だよ。