リビングには、何故か龍太がいた。

「あれ、龍太、早くない?六時に来るんでしょ?」

 言いながら、私は時計を取り出す。まだ十二時にさえなっていない。

「来たら悪いかよ」

 不法侵入で訴えることも、できるんだけど。

「なんでいるの?」

 私が聞くと、龍太はドヤ顔でポケットをあさる。まさか、ピッキング道具でも出すんじゃないでしょうね?

「じゃーん。お前んちの鍵!」

 龍太が、ひこにゃんマスコット付きの鍵を出す。

「お前の母さんがさ、俺にくれたんだ!」

 龍太が、いつになく興奮した口調で言う。貸した、の間違いじゃないの?

「なんでも、お前が鍵なくすんじゃないかって心配なんだってさ」

 私、高校生だよ!?さすがに鍵はなくさないよ!!