「閉館だよ~お客さん。」

[うるっさいなあ!今わるいところなんだ。邪魔するなぁっ!」

「いいところ、じゃなくて?」

[俺の緻密な計算ではこの名探偵の推理ショーは250頁から始まる予定だったんだ。

それが280頁になってもいっこうに始まらない。

あと20頁で終わってしまうというのにぃぃ!」



〈放置と言った意味がよくわかった。

あれは他人のフリをしたくなるな。」


「大切にしてね、その木刀。

この街の季節がぜんぶ宿っているんだから。

それに自分も。」

〈ああ。」

「それで、どうして突然図書館に行きたくなったの?」

〈……なんとなく。」

「春だからね~。」

〈そうだな。春だからな。」



―完―