僕のとなりは君のために

「ねぇ、行きたい場所があるんだけど」

君は僕の胸に胸を埋めたまま言った。

「どこ?」

「ゲームセンター」

「えっ? どうして?」

「ダメ?」

君は僕から離れ、見つめてくる。

「ダメじゃないけど、なんで?」

「今日はなんの日か、知ってる?」

僕は左手を顎に当て、考えた。

どうやらいつの間にか君の癖が移ってしまったらしい。

「わかんない。何の日?」

「・・・・・・今日は私の誕生日」

「えっ、そうなの?」

「そうなの」

「うそ」

「うそじゃない」

「でも何のプレゼントも用意してない・・・・・・」

「うん。大丈夫」

君は少し笑みを見せ、もう一度、大丈夫と言った。

「プレゼントはもらうわ。だから安心して」

「でも、あまり金がないし。高いものは買ってあげられない」

「お金はかからないわ」

「お金はかからないの?」

「そう。あなたからしか、もらえないものだから」

「それはなんだ?」

「まだ、内緒」

君は唇に人差し指をあて、いじわるく微笑んだ。