僕のとなりは君のために

あとから君に聞いたけど、あのときの僕はどうやら抱きしめて欲しくてたまらない顔をしていたらしい。

それはいったいどんな顔なのか、僕には想像しがたい。

だからあなたを抱きしめるしかないのよ。あなたは自分から絶対言わないし、そうでもしないと、また泣かれるわ、と君は僕をからかいながら言った。

そういうわけで、僕らは抱き合った。

君は僕の想像したよりずっと華奢で、二の腕がまるで寂しい冬の桐の枝みたいに、軽く触れただけで折れてしまうんじゃないかと思うぐらい細かった。

そして、君の手はとても小さかった。

僕の手のひらの半分くらいで、僕は君にいつも殴られたせいで、君の手をとても力強い手だと勘違いしていた。

だから、初めて握った君の手に正直度肝が抜かれるくらい驚いたのだった。

この二の腕に、子供のような小さな手。

いつも僕を脅かす君の力強さはどこから来ていたのか、不思議に思った。