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僕は絵に描いたような平々凡々な男だ。とりわけ秀でてるものはなく、クラスで欠席しても誰も気付かないような人間だった。

唯一の趣味であるテレビゲームを楽しむのが好きで、いつも一人でいることに気楽さを感じている、ちょっと変わった考えを持った19歳。

僕は人とつるむのはあまり好まない。人込みに入ってしまうと、僕はみんなの熱気にやられて目まいを起こしてしまうのだ。

昔、町のお祭りに行って、気絶したことがあるぐらいなのだから。そしてその日を境に、僕は人を避けるようになった。

人嫌いというわけではない。ただ僕の身体がどうしても集団生活にうまく適応してくれないのだ。

だからかもしれない。元彼女が僕のことを嫌うようになったのは。

僕と一緒にいても、なんの楽しみもないのだから、離れることを最初から予想していた。

だけど、当時の僕は思春期の真っ只中の少年だ。異性に触れたいと思うのはなんの不思議なことじゃない。

だから告白されて、僕はすんなりと彼女を受け入れたのだった。

僕は彼女が好きだ。彼女も途中までは僕のことが好きだったと思う。

それでも、別れはいつも思ったより早くやって来る。悲しみを堪えながら、僕たちは笑いあった。
さよなら、またどこかで。さよなら、またいつかで、って。

そうやって、僅か一年という短い交際期間に終止符を打ち、僕たちは別れてしまったのだった。