二度目の恋

すると、また黒い影が動いた。「シュウ」美月は静かに呼んだ。愁は美月を見ると、美月は何処か遠くを見ていた。愁も美月の目線に目を向けた。すると霧がうっすらと消えていき、そこに森林が現れた。「愁、見て」美月は目線を反らさず、森林に目を向けながら言った。二人がそこに目を向けると、何かが通った。「リュウ……」美月が言葉を放った。愁は一瞬美月を見て、また森林に目を向けた。
 確かにリュウだった。あれは、リュウだ。だが、愁はもう立てなかった。体がクタクタなのと、リュウがいた安心感から体が動かなくなっていた。「シュウ」美月は愁の名を呼んでリュウを追いかけ走ろうとしたが、愁の手が美月を引っ張った。美月はそっと愁の手を放れ、リュウの歩いた方向に一人走って行った。愁はその姿を見てゆっくり体を起きあがらせて、美月の走っていった方向に歩いた。