二度目の恋

 ドアをノックした。すると玄関のドアが開いて美月が顔を出し「愁?どうしたの?」いつもと変わらない美月の姿があった。だが、昨日とは全く違っているようにも、愁には見えた。
「あの……昨日は大丈夫だった?」
 美月の顔を見て、何だか不思議と安心してしまった。
「うん、何でもないの。ごめんなさい」
「ほんとに?」
 美月は頷いた。
「それを心配してきてくれたの?」
「うん」
「ありがとう。昨日、私、どうかしてたの。気にしないで」
 美月は笑顔で答えた。だがその笑顔がどことなく濁っていた。
「あの、あと、リュウ、見なかった?」
「リュウ?」
「うん、いないの」
「えっ?」
「一緒に探してくれる?」
 美月は頷き、家を出た。
 二人はリュウの名を叫びながら歩き探していた。村中を歩き、田圃のせせらかな匂いが漂った道を歩き、空き地の草を掻き分けながら探したがリュウの姿はなく、二人は薔薇山へと向かった。
「美月、リュウは何処行ったのかなぁ」
 愁は不安になっていた。
「大丈夫、リュウは何処かにいるよ」
 そう、美月は頑なに信じていた。
「どこ?」
「えっ?」
「昨日、僕散歩に行かなかったの。怒ってるのかなぁ」
 美月は何か言おうとしたが、すぐに愁が話し始めた。
「最近、一緒に遊んでないの。きっと、寂しかったのかな」
「きっと、迷子になっちゃったんだよ」
「迷子?」
 愁は美月を見た。
「うん、自分で散歩に出て、迷子になっちゃったんだよ」
「じゃあきっと、寂しがってる」
「ねぇ、湖に行かない。何か湖にいるような気がする」
「湖?そうか!湖にいるよ。リュウ、大好きだもん」
「うん、絶対いるよ!」