二度目の恋

「あら、愁ちゃん来てたの」
 静江は、愁ににこやかに、優しい口調で言った。
「おばさん、こんにちは」
 愁はあどけない表情で、静江を見た。
「こんにちは。愁ちゃん元気?」
「うん」
「恵子ちゃんは?」
「ママ?ママは仕事」
「あら、日曜日なのに大変ね」
「うん、だから僕、ママを手伝うの」
「あら、偉いわね。何を手伝うんだい?お掃除かい?お洗濯かい?」
「ううん、郵便配達」
「ゆうびん……って、この人の仕事じゃないかい!」
 ガン太を指差した。
「あんた!また愁ちゃんに、何か吹き込んだんじゃないのかい!」
 ガン太を睨みつけた。
「お、俺は何も……」
 ガン太は懸命に弁解しようとしたが、言葉が出ない。
「違うよおばさん。僕がガンちゃんに頼んだんだ」
 愁はガン太をフォローした。
「そうだ」
 ガン太は腕を組んで、大きく頷き言った。
「もちろん掃除も洗濯もするけど、それだけじゃ、ママ大変なんだ」
「そう!愁のその気持ちに感激したんだよ。だから俺の仕事を手伝って、ちょっとでも生活の足しになればと……な」
 ガン太は言った。
「……分かったわ。おばさん、何かやることある?」
 ガン太が学生服を差し出した。
「この服、愁にあげたんだよ。郵便配達するのに丁度いいだろ。だけど、ちょっとデカイんだ。縫ってくれないか」
「分かったわ。ちょっと待ってて」