亨は愁を見た。
「何故だと思う?」
愁は考えたが、答えは見つからない。亨は愁の顔を見て少し微笑み、また話し始めた。
「天使は太陽の光を辿って、下界に降りたんだ。白く埋まった村に太陽の光が降り立つと、まるで道のように、いくつもの光の線ができるんだ。その線を神様は辿ると、その先に白く輝く天使の姿があった。神様は罰として、この村の平和を見守るように天使に言い渡し、お社に閉じ込めたんだ。それからずっと、霧に埋もれた村となった。この湖も霧に囲まれて、ずっと見つからないでいたんだよ」
「でもこの村には、お社なんかないよ」
愁は言った。
「ああ、でも何処かにあるんだよ。この村の何処かに……みんな信じてるんだ。だからお社は建てない。みんながその言い伝えを信じて、ずっと探してるんだ……」
その時愁の周りに何か、光る小さな者が通った。<何だろう?>愁は思った。何処かで見たことがある。青白く光り、愁に近付いてくる。<妖精?>そう思いながらも愁は疑い深く、その者を見た。小さい頃に絵本で見たことはある。たしか絵本の中の妖精は、顔は青く、髪は縮れて長い。目は細くて吊り上がっていた。そしていつも体から光を発し、何処にでも現れる。愁が見ている目の前の者は、絵本で見たのと同じだった。
その者は三人現れ、愁の前を通りすぎて亨の体に乗った。一人は左肩に乗り、もう一人は右肩で飛び跳ね、そしてもう一人は、頭の上で髪の毛を引っ張っていた。愁は驚き、その様子を見ていた。絵本で見たことはあっても、実際に見ることは初めてだったからだ。だが愁は、まだ少しその者が妖精か疑っていた。その時、亨は愁の方を向き
「どうした?」
訪ねたがその声は聞こえず、亨の体に乗る者を見ていた。
「……妖精か?」
亨から出たその言葉に、愁は驚きを隠せない表情で、亨の顔を見た。
「妖精だろ?」
亨は愁に訪ねたが、愁は驚きのあまり、言葉が出なかった。
「パパも小さい頃見たよ。まだいるんだ……何処にいる?」
また亨は訪ねた。愁は驚きから、体は固まっていたが、亨の顔から、ゆっくりと妖精に目を向けた。
「パパの、体に触れている……」
「体?何処だ?」
亨は何か、楽しそうだ。
「頭と……肩」
「頭と肩?」
亨はすぐ手を持ち上げて触れようとしたが、その手を止めた。
「何故だと思う?」
愁は考えたが、答えは見つからない。亨は愁の顔を見て少し微笑み、また話し始めた。
「天使は太陽の光を辿って、下界に降りたんだ。白く埋まった村に太陽の光が降り立つと、まるで道のように、いくつもの光の線ができるんだ。その線を神様は辿ると、その先に白く輝く天使の姿があった。神様は罰として、この村の平和を見守るように天使に言い渡し、お社に閉じ込めたんだ。それからずっと、霧に埋もれた村となった。この湖も霧に囲まれて、ずっと見つからないでいたんだよ」
「でもこの村には、お社なんかないよ」
愁は言った。
「ああ、でも何処かにあるんだよ。この村の何処かに……みんな信じてるんだ。だからお社は建てない。みんながその言い伝えを信じて、ずっと探してるんだ……」
その時愁の周りに何か、光る小さな者が通った。<何だろう?>愁は思った。何処かで見たことがある。青白く光り、愁に近付いてくる。<妖精?>そう思いながらも愁は疑い深く、その者を見た。小さい頃に絵本で見たことはある。たしか絵本の中の妖精は、顔は青く、髪は縮れて長い。目は細くて吊り上がっていた。そしていつも体から光を発し、何処にでも現れる。愁が見ている目の前の者は、絵本で見たのと同じだった。
その者は三人現れ、愁の前を通りすぎて亨の体に乗った。一人は左肩に乗り、もう一人は右肩で飛び跳ね、そしてもう一人は、頭の上で髪の毛を引っ張っていた。愁は驚き、その様子を見ていた。絵本で見たことはあっても、実際に見ることは初めてだったからだ。だが愁は、まだ少しその者が妖精か疑っていた。その時、亨は愁の方を向き
「どうした?」
訪ねたがその声は聞こえず、亨の体に乗る者を見ていた。
「……妖精か?」
亨から出たその言葉に、愁は驚きを隠せない表情で、亨の顔を見た。
「妖精だろ?」
亨は愁に訪ねたが、愁は驚きのあまり、言葉が出なかった。
「パパも小さい頃見たよ。まだいるんだ……何処にいる?」
また亨は訪ねた。愁は驚きから、体は固まっていたが、亨の顔から、ゆっくりと妖精に目を向けた。
「パパの、体に触れている……」
「体?何処だ?」
亨は何か、楽しそうだ。
「頭と……肩」
「頭と肩?」
亨はすぐ手を持ち上げて触れようとしたが、その手を止めた。
