「どの村にも、言い伝えの一つや二つはあるもんだよ。神霧村にも言い伝えはあってな、昔この村には神様がいたんだ。村の平和を守っていた。霧も闇さえない、とても明るくて輝いて見える村だったそうだよ。ある冬の日、その年の一番寒く冷え込む朝のこと。神様に仕える悪戯好きの天使の一人は、いつものように下界を見ていた。天使は朝早く下界を見ることが楽しみだった。それは、みんなが一斉に動き出す……」
雲の上から天使は下界を覗いてた。光り輝く朝だ。新聞配達人が、家々のポストに新聞を入れていく。パジャマ姿で新聞を取りに行く者もいる。ジョギングをする者もいる。「おはよう!」その者はポストに新聞を取りに来た者に声をかけた。また、背広姿で会社に向かおうとする者もいる。それを見送る妻の姿がある。その脇からかけ出し、ランドセルを背負って「行ってきます!」と大声で走り去る子供もいる。
「それが、朝の風景だ。天使は毎日楽しみに雲の上から村の人々を見ていたが、その日は寒かった。この時期はいつも寒いが、その日はとくに寒かったんだ。天使はその寒さに耐えられなく、手を擦り、手で体も擦り、暖めようとした。そしてあまりの寒さに、フッ息を吹いたんだ。するとふぁっと白い物が浮き上がった。天使はその物を見るのは初めてだった。その物に吃驚して、もう一度息を吹くとまたふぁっと白い物は浮かび上がり、消えた。天使にはもう寒さなど感じないほど、その白い物に興味を持った。その白い物が面白くなり、夢中になって何度も何度も息を吹くと、その度にふぁっと白い物は現れ、そして消えるんだ。何度も何度も息を吹き、白い物は現れて消える。だが、その白い物は消えていたわけじゃないんだ。天使が息を吹く度に、一度は浮き上がって下界へ沈んでいくんだ。天使がその事に気づいたときは、もう遅かった。下界を覗くと村は白く埋まっていて、家も畑も田圃も全て見えなくなっていたそうだ。それを知った神様がもの凄く怒って天使を捕まえて罰を与えようとしたが、天使は神様の怒りを知って怖くなって逃げたんだよ。白く埋まった下界へね。ここなら見つからないと思ったんだ。だけど、神様は意図も簡単に見つけたんだよ」
雲の上から天使は下界を覗いてた。光り輝く朝だ。新聞配達人が、家々のポストに新聞を入れていく。パジャマ姿で新聞を取りに行く者もいる。ジョギングをする者もいる。「おはよう!」その者はポストに新聞を取りに来た者に声をかけた。また、背広姿で会社に向かおうとする者もいる。それを見送る妻の姿がある。その脇からかけ出し、ランドセルを背負って「行ってきます!」と大声で走り去る子供もいる。
「それが、朝の風景だ。天使は毎日楽しみに雲の上から村の人々を見ていたが、その日は寒かった。この時期はいつも寒いが、その日はとくに寒かったんだ。天使はその寒さに耐えられなく、手を擦り、手で体も擦り、暖めようとした。そしてあまりの寒さに、フッ息を吹いたんだ。するとふぁっと白い物が浮き上がった。天使はその物を見るのは初めてだった。その物に吃驚して、もう一度息を吹くとまたふぁっと白い物は浮かび上がり、消えた。天使にはもう寒さなど感じないほど、その白い物に興味を持った。その白い物が面白くなり、夢中になって何度も何度も息を吹くと、その度にふぁっと白い物は現れ、そして消えるんだ。何度も何度も息を吹き、白い物は現れて消える。だが、その白い物は消えていたわけじゃないんだ。天使が息を吹く度に、一度は浮き上がって下界へ沈んでいくんだ。天使がその事に気づいたときは、もう遅かった。下界を覗くと村は白く埋まっていて、家も畑も田圃も全て見えなくなっていたそうだ。それを知った神様がもの凄く怒って天使を捕まえて罰を与えようとしたが、天使は神様の怒りを知って怖くなって逃げたんだよ。白く埋まった下界へね。ここなら見つからないと思ったんだ。だけど、神様は意図も簡単に見つけたんだよ」
