「競馬、行ったの?」
 芳井が言った。
「何で愁が知ってるだよ」
 亨が言った。
「だって、ガンちゃん木曜日に言ってたじゃん」
 愁は言い
「あれは失業前だ!」
 反論した。
「じゃあ、行ってないの?」
 芳井は聞き返した。
「行ったよ、腹癒せに……」
「いくら……いくら擦られた!」
 亨が怒り口調で言った。
「なんで?」
「お前が競馬で勝つわけがない!」
 言い切った。
「十万……」
少し声を小さく答えた。
「え?」
 みんな聞き返した。
「十万、擦っちまったよ」
「バカ!」
 亨が言った。
「大丈夫だよ」
 ガン太は苦笑いを浮かべた。
「がんちゃん、月にいくら注ぎ込んでるの?」
 芳井が聞くと、ガン太はブツブツと考え始めた。
「えーと、日曜日に……二万……五万……十七万。今月は十七万……かな?」
「十七万?」
 亨と芳井の目が点となった。
「……で、結果は?」
 亨が呆れていった。
「全て、吸い込まれました」
「バカ!」
 亨と芳井は呆れかえって、二人同時に言葉を吹き飛ばした。それでも竹中はカードを睨み、銜えタバコで煙を吹かしてニヤッと笑っていた。
「こりゃ~静江さんも呆れるや」
 芳井が言った。
「だいじょーぶだよ。あいつにはバレてねーから」
 ガン太が言った。
「でも仕事どうするの?」
 芳井が言った。
「今捜してるよ」
「本当、ガンちゃん好きだよね~」
 唯が台所から戻ってきた。
「お前は黙ってろ!」
「はい、ピラフ」