二度目の恋

「お前、今いくつあるんだ?」
 亨が聞いた。
「え?体重?九十三だけど……」
「え?九十三?体重が九十三……デブ……」
 ガン太が言った。
「デブじゃない!」
 少し興奮して芳井は言った。
「知ってる?こいつの小学校の時のあだ名」
 ガン太は意地悪ににやけ、芳井を見て言った。
「黙れガン太!」
 芳井は怒鳴った。
「豚猿だよ」
 ガン太が言った。
「豚猿?」
 亨が聞いた。
「眼鏡をかけた豚猿だ」
 ガン太は言うと
「ハハハ、似てる似てる」
 亨が笑い言った。
「ハハハ、似てる似てる」
 愁も真似た。
「ちょっと、シュウちゃん」
 芳井が叫んだ。
「ほら、早くカード!」
 ガン太が言い、芳井はカードを引いた。
「お前、小学校の頃から太ってたよな」
 亨が言った。
「俺なんか、こいつが転校してきたとき顔、見れなかったもんな」
 ガン太が言った。
「ちょっと!その話は終わったでしょ!」
芳井は叫び
「何で?」
 愁は聞いた。
「ちょっと、シュウちゃん!」
 焦り叫んだ。
「うわぁ!ダルマ?」
 ガン太が言うと
「二十代は痩せてました!三十代になったら戻っちゃったけど……」
 芳井はムキになって答えた。みんな、芳井をからかって楽しんでいた。
「ガン太は?お前、仕事辞めたのか?」
 竹中は銜えタバコで煙を吹かし、カードで顔が隠れてあまりよく表情は見えなかったが、低い声で初めて言葉を放った。
「ん?まあ……」
 誤魔化して答えた。ガン太は少し気まずかった。∧余計なことを……∨少し竹中を睨んだ。
「辞めた?」
 亨が言った。
「なんで?」
 芳井が聞いた。
「クリーニング屋は大変か?」
 亨は聞いた。
「店長と喧嘩したんだよ」
「ど~すんだよ」
 亨はまた聞いた。
「考える」
「考えるって……」
 芳井は言った。
「それで競馬に行ったの?」
「シュウ!」
 ガン太は叫んだ。