「恵子ちゃん、いるかしら」静江は家を回りながらそれぞれの窓から中を覗き、恵子を探した。「いないわ。電気を消し忘れて寝てるのかしら」そう言いながら台所の窓に近づ付いて覗いた。「いたいた、あんなところで寝てたら風邪引くわ」顔は見えなかった。台所の窓から見えたのは足だけだ。冷蔵庫の影から足が見えた。静江は玄関に近づいて、ドアノブを回した。カチャッドアは開いた。「開いてるわ……」静江はガン太をその場に休ませ、一人家の中に入った。「恵子ちゃん、入るわよ~」小声で言った。部屋の中は散らかっていた。静江は辺りを見渡し、少し不信感を抱いていた。なぜならば、それは恵子の性格からして、こんなに部屋が汚くなるはずがなかった。「恵子ちゃ~ん」台所の明かりが、ゆっくりと静江に降りかかっていた。すると台所の入り口が見え、恵子の足が見えてきた。「恵子ちゃん?」静江は台所の入り口に立ち、恵子を確認すると近づいた。「恵子ちゃん、こんなところで寝ていると風邪引くわよ。部屋で寝よ」そう言って、倒れている恵子の体を揺すった。「恵子ちゃん、恵子ちゃん」何度も体を揺すって、名前も呼んだが反応がなかった。恵子の回りは空になった缶ビールが、たくさん捨てられていた。その一つの缶ビールだけが中身が入っていて、床に零れており、恵子の顔をぬらしていた。静江は倒れている恵子の体を起こした。「あらあら、こんなに塗れちゃって」恵子の顔色は白く、全く血色が無かった。「恵子ちゃん?恵子ちゃん」静江は恵子の名を呼び、体を揺すったが反応が無く、そっと額に手を当てた。「凄い熱……」静江は慌てて恵子の体を揺すった。「恵子ちゃん!恵子ちゃんシッカリ!」静江は何度も恵子の名を呼び続けた。
美月は二階の部屋に入ってきた。緑のカーテンが赤く染まっている。そのカーテンに近づき開くと日の光が射し込んできた。その窓は出窓となっており、美月は両手を広げて窓を開けた。すると更に眩い光が美月を襲い、どこからか美しい歌声が聞こえてきた。目の前は教会。その教会の白い壁が日の光に反射して、眩い光を放って美月に襲ってきた。美月が上を見上げると、十字架が太陽と被って光り輝いている。その美しい歌声は教会の中から聞こえた。聖歌だ。美月はいつも聖歌を聴いていた。その歌声が心を癒してくれる。
美月は二階の部屋に入ってきた。緑のカーテンが赤く染まっている。そのカーテンに近づき開くと日の光が射し込んできた。その窓は出窓となっており、美月は両手を広げて窓を開けた。すると更に眩い光が美月を襲い、どこからか美しい歌声が聞こえてきた。目の前は教会。その教会の白い壁が日の光に反射して、眩い光を放って美月に襲ってきた。美月が上を見上げると、十字架が太陽と被って光り輝いている。その美しい歌声は教会の中から聞こえた。聖歌だ。美月はいつも聖歌を聴いていた。その歌声が心を癒してくれる。
