「じゃあ何で」
「わからん。シャリーが突然やってきて、その手紙を私に渡したんだ」
「ママは、何で私じゃなくて、生きてるときに、おじさんに渡したの?」
「わからん。だが、顔が死んでいた。青ざめていて、魂が抜けたようだった」
愁は二人の会話を聞いていたが、何を話しているのかまるで分からなかった。局長は愁の存在を気にせず、美月とだけ顔を合わせて話していた。
「あの日は、シャリーが死ぬ六日前だよ。忘れもせん。夜遅く突然私の所にやってきて『この手紙、私に何かあったら美月に渡してください。お願いします。ごめんなさい。ごめんなさい』そう言って何度も謝りながら去っていったよ。私は何のことかサッパリわからんかった。シャリーは何を思っていたのか。悲しい事故だったな……シャリーの死後、すぐ届けようとしたが何か不気味に思えてな、なかなか届けないでおいた。私の決心も固まり美月ちゃんに届けようとしたがもう遅く、美月ちゃんは引っ越してしまったな。だがやっと見つけた。愁に出会ったことで神霧村にいることが分かったんだ。でも私が知っているのはそんなことだけだ。シャリーに何があったかはわからん」
「あの日、私は見たの。ママが死ぬところ。一瞬だった。土砂が崩れ落ちた。でも、何でママがあの場所に行ったのか分からない」
「美月、美天村へ戻れ。私はもうわからん。国利(こくり)と言う男がいる。知ってるか?」
美月は首を横に振った。
「名字は知らん。質屋を営んでいる。その男がシャリーと仲良くしてたはずだ。その男に聞けば何か分かるかもしれん」
「わかった。愁、行こう!」
「え?あ、うん」
美月は愁の手を引き部屋を出ていった。局長がふと見ると郵便鞄が二つ置いてあった。
「お、おい!愁。かばん……」
局長は鞄を持ち上げて言ったが、もう二人は郵便局を出ていってしまった。
愁は車輪を回した。美月は後ろに乗り、自転車は動いた。愁は猛烈に自転車をこいで美天村へ向かった。
風は靡き、美月は昔の記憶を彷徨っていた。
「わからん。シャリーが突然やってきて、その手紙を私に渡したんだ」
「ママは、何で私じゃなくて、生きてるときに、おじさんに渡したの?」
「わからん。だが、顔が死んでいた。青ざめていて、魂が抜けたようだった」
愁は二人の会話を聞いていたが、何を話しているのかまるで分からなかった。局長は愁の存在を気にせず、美月とだけ顔を合わせて話していた。
「あの日は、シャリーが死ぬ六日前だよ。忘れもせん。夜遅く突然私の所にやってきて『この手紙、私に何かあったら美月に渡してください。お願いします。ごめんなさい。ごめんなさい』そう言って何度も謝りながら去っていったよ。私は何のことかサッパリわからんかった。シャリーは何を思っていたのか。悲しい事故だったな……シャリーの死後、すぐ届けようとしたが何か不気味に思えてな、なかなか届けないでおいた。私の決心も固まり美月ちゃんに届けようとしたがもう遅く、美月ちゃんは引っ越してしまったな。だがやっと見つけた。愁に出会ったことで神霧村にいることが分かったんだ。でも私が知っているのはそんなことだけだ。シャリーに何があったかはわからん」
「あの日、私は見たの。ママが死ぬところ。一瞬だった。土砂が崩れ落ちた。でも、何でママがあの場所に行ったのか分からない」
「美月、美天村へ戻れ。私はもうわからん。国利(こくり)と言う男がいる。知ってるか?」
美月は首を横に振った。
「名字は知らん。質屋を営んでいる。その男がシャリーと仲良くしてたはずだ。その男に聞けば何か分かるかもしれん」
「わかった。愁、行こう!」
「え?あ、うん」
美月は愁の手を引き部屋を出ていった。局長がふと見ると郵便鞄が二つ置いてあった。
「お、おい!愁。かばん……」
局長は鞄を持ち上げて言ったが、もう二人は郵便局を出ていってしまった。
愁は車輪を回した。美月は後ろに乗り、自転車は動いた。愁は猛烈に自転車をこいで美天村へ向かった。
風は靡き、美月は昔の記憶を彷徨っていた。
