村役場にたどり着いた。自転車を置くと、両手いっぱいの手紙を持って入り口に入っていった。
「こんにちわ~」
愁は入り口で立ち止まり訪ねた。すると廊下の奥から唯が歩いてきた。
「あら、シュウ」
「こんにちわ」
「はいはい、こんにちわ。今日はなに?」
唯は愁の両手に持っている手紙に目がいった。
「手紙?」
愁は頷いた。村役場にはいろんな手紙が届く。他の村や町の情報や村を開発する意見、その他いろいろだ。
唯はその手紙を受け取ると、何も言わず愁に背を向け歩いていってしまった。愁はその後ろ姿を見ると振り返り、入り口を出ていった。
愁が出ていくと、唯は振り返りその方向をジッと見た。
橘恵子は居間にあるテーブルの椅子に座っていた。テーブルに肘をつき、手を組んで考えていた。数ヶ月前のことを思い出している。
それは亨と愁が初めて湖に行った日のことだ。
「あなた、こんな朝早く愁と何処行ってたの?」
「何だ、知ってたのか」
「知ってるも何も、あんなに物音立てられたら分かるわよ」
「そうか、いや、愁とちょっと散歩したくてな」
「散歩?」
「ああ、リュウの散歩だ」
「あら珍しい。今までそんなことなかったじゃない」
「たまにはいいだろ。男同士、話もあったしな」
「あら、何の話よ」
「男同士の話だよ。女にはわからん」
‶ジュー″と油がはねる音がした。恵子は台所で朝食を作っている。亨は居間のテーブルの椅子に座って会話していた。
「愁は?」
「寝てるわ」
「そうか。食事、もう出来るか?」
「もうちょっとよ。あなた、今日は?」
「朝から村役場で会議だ。俺の計画が今動いてるんだが、ちょっと躓(つまづ)いていてな」
「鉄道?」
「こんにちわ~」
愁は入り口で立ち止まり訪ねた。すると廊下の奥から唯が歩いてきた。
「あら、シュウ」
「こんにちわ」
「はいはい、こんにちわ。今日はなに?」
唯は愁の両手に持っている手紙に目がいった。
「手紙?」
愁は頷いた。村役場にはいろんな手紙が届く。他の村や町の情報や村を開発する意見、その他いろいろだ。
唯はその手紙を受け取ると、何も言わず愁に背を向け歩いていってしまった。愁はその後ろ姿を見ると振り返り、入り口を出ていった。
愁が出ていくと、唯は振り返りその方向をジッと見た。
橘恵子は居間にあるテーブルの椅子に座っていた。テーブルに肘をつき、手を組んで考えていた。数ヶ月前のことを思い出している。
それは亨と愁が初めて湖に行った日のことだ。
「あなた、こんな朝早く愁と何処行ってたの?」
「何だ、知ってたのか」
「知ってるも何も、あんなに物音立てられたら分かるわよ」
「そうか、いや、愁とちょっと散歩したくてな」
「散歩?」
「ああ、リュウの散歩だ」
「あら珍しい。今までそんなことなかったじゃない」
「たまにはいいだろ。男同士、話もあったしな」
「あら、何の話よ」
「男同士の話だよ。女にはわからん」
‶ジュー″と油がはねる音がした。恵子は台所で朝食を作っている。亨は居間のテーブルの椅子に座って会話していた。
「愁は?」
「寝てるわ」
「そうか。食事、もう出来るか?」
「もうちょっとよ。あなた、今日は?」
「朝から村役場で会議だ。俺の計画が今動いてるんだが、ちょっと躓(つまづ)いていてな」
「鉄道?」
