もしかしたら今年は振られるのかもしれない。
だってだって毎年のことだもの。
嫌な思い出しかないんだよ。

ぐるぐると回るのは最悪の展開。
もしかして浮気?今日は出勤、頑張ってはやく終わらすからって…………。




視界がぼやける。
鼻が痛くなる。
「うぐっ………バーーーカボケェェェ!!」


叫んだ言葉にみんな憐れみを含んでこちらを見る。楽しい空間に水なんて差したくはない。けれど、やってられるかって思う。おい、サンタちょっとくらい夢見させろよ。ロマンティックじゃなくていいんだよ。

夜の黒に優しく灯る街灯が、悲しい。
あぁ、くっそうこうなったらやけ酒だ。
晩酌だ、大いに暴れてやる。

帰ろう、バス停まで足を進める。
一歩一歩にちくちくと何かが刺さる。
バスを待って、暫くするとバスがきて。
乗り込もうとした時、腕を誰かが掴んでいて一気に引き釣り下ろした。



「あ……」

「ごめ、遅く、………しんど」


落ちた先は彼の懐の中。
首に白く温かい息がくすぐる。
………………間違いなく、彼だった。