女は独特の雰囲気を漂わせながら、私達に向かって妖艶に微笑んだ。
うわ、美人だ。
「アルト、久しぶり」
「え?」
疑問を投げかけたのは私だった。
まさか目の前の美女がアルトの知り合いだとは思わないだろう。いや、何度も此処に訪れてみ回っているんだ、親しくなって当然かもしれないけど。
なんとなく納得いかない気持ちを持ちながら、私は二人の様子を伺った。
「神奈(かんな)」
至極懐かしげに呼んだそれは彼女の名前らしい。神奈さんはぱあっと頬を綻ばせて、アルトに近寄った。
「元気だった?」
「ああ。お前も相変わらずだな」
「今日はなにしにきたの?また見回り?」
「まあ。それよりお前、出歩いてて大丈夫なのか?」
「平気よ。………あれ?そちらの方は?」
ようやく私に気づいたようで、彼女はアルトの肩越しに顔を覗かせた。
今更かよ、とツッコミたくなるのを抑えて月はなるべく笑顔で自己紹介した。
途端、彼女はまた明るい顔をして素早く私の手を取る。
「私は神奈っていうの!月ちゃん、神奈って呼んで!あと、友達になろう!」
物凄い勢いで自己紹介と友達希望をされて私は勢いに押されるまま頷いてしまう。飛び上がって喜ぶ彼女に悪い気はしなかった。
「……少し落ち着け神奈。また倒れるぞ」
「馬鹿ねえ、これくらい平気よ!」
そう胸を張って宣言する彼女だが、確かに顔色はあまりいいとは言えなかった。元々白いから分かり難かったけど、もしかして病気持ちなのだろうか。
おずおずと月は体調悪いの?と尋ねると、その時でも彼女は何も問題ないよ、と笑っていたけれど。

