「仕事だよ」
「へえ…」
「あ、信じてないでしょ?俺が真面目に仕事してるように見えない?」
頷くとまたけらけらと笑った。
(何がそんなにおかしいんだか)
さりげなく眞田さんが片手を私に伸ばして来たので、一歩後ずさる。すると彼はガードが固いね、と肩を竦ませた。
「…警戒してますからね」
「はは、それはっきり言っちゃうんだ。……あ、アルトはどこかな?」
上手く話の流れを変えた眞田は、打って変わって真面目な顔をする。
なるほど。
これが仕事面ってやつか。
「今、お話中ですよ」
月が目をそらして言うと、彼はふーん、と何かかんがえるような仕種をする。
「なるほどね、君は仲間外れってわけかあ」
「…別に、眞田さんには関係ありません」
「アルトと同じようなこと言うんだね。ふふ、あいつも直ぐそうやって他人に踏み込ませないようにする」
似たもの同士の馴れ合いかい?
その言葉に月は思い切り眉を顰めた。
眞田の棘のある言葉は昨日あった時から妙に勘に触る。
意図的な言動が、腹立たしい。
「月ちゃん、寂しいの?」
甘ったるく名前を呼ばれた瞬間、予想以上に近い距離にあった彼の手が私の身体を捕らえていた。
背中に回された片手に、身震いする。

